タネは誰のもの 12.2香取上映会の報告
この日はちょうど参議院本会議で種苗法改正案の決議が行われる日でした。
そして、天気予報は晴れの予報が出ていたのにもかかわらず、雨降りで気温は寒さを感じる日でしたが、それとは裏腹に、会場の半農半鮨「まこと屋」さんには12名の方がお越しいただきました。
代々農家をおこなっている方、最近自然農をはじめられた方、結婚を契機に農業に携わる予定という方、親子、等々、多彩な方々が駆けつけました。
参加者からの感想
・「生物、食物に権利を主張するものではない」という(映画のなかで自然農の米農家の方が言っていた)言葉がとても印象に残っている
・いろいろな角度から見て知ることができてとても分かりやすい内容だった。
・知って、これから自分はどうすればよいか考えさせられた。
・(改正種苗法に)反対・賛成の意見があり、どちらの考えや意見が分かり、自分自身もよく考えるきっかけになった。
・考えることが大切。
・種子法・種苗法についての関心はあったが、ネット等で調べても一方向の意見しか出てこないことが多く、はっきり理解できなかったのが、今回の映画において、山田正彦氏のインタビュー等で立場の違う双方の言い分を聞くことができて、少し理解が進んだ。
・正直、(改正種苗法は)「コワイな」と思った、どうにか純粋にタネを・農家を守りたいと思いました。
映画のあと、まこと屋さんの店主さんじきじきの握り鮨をいただきながら、タネは誰のものの映画の感想や、改正種苗法下で、じゃあどうするの?という話、
改正種苗法で一番得するのは誰か?また、改正種苗法の本当の目的は何なのか?
今の食糧自給率について、農業経営の現状について、
今の農業環境で農業は維持できるのか?など、
生産者、卸売に携わっている方、まこと屋さん(又はまこと屋さんのような飲食業の方)、子を持つお母さん、等いろんな立場・生業の方が集まったこともあり、
11月23日の柏上映会のときとはまた違った交流・意見交換をおこなうことができました。
農業従事者であれ、消費者などいろいろな立場であれ、「食」「農」は生きていくうえで欠かせない問題であり、考え・行動し続けることが大切であるということ。
改正種苗法では、登録品種においては自家増殖に対する一律規制がおこなわれ、これまで登録品種で株分けやタネどりをして自家増殖をして栽培・生産・販売をおこなうにあたり、これまではできていたものの、来年4月からの施行以降は、毎回購入する、または自家増殖するには開発者の許諾を要するという流れになっていきます。
登録品種の登録期間は登録されてから25年ですが、期間の切れた品種や登録品種外の品種はこれまで通り、株分け・タネどり、は可能です。
登録品種の海外流出の問題がありました。しかし、海外へ持ち出され勝手に自家増殖・販売されてしまった実例に対しては、改正前の種苗法で十分に対応できました。
海外での勝手な増殖を阻止するには、海外での品種登録をおこなうこと。
そのフォローや指導を農林水産省他主管官庁は農業事業者に対してフォローや指導を行っていけばよかった話です。
改正種苗法とほぼ同時並走で進んでいる自由貿易協定、日本の食料市場で起きている問題(米におていは多収穫品種が増えていること、海外農産物の増大、ゲノム編集食品の商用化及び食料市場への参入兆候など)も注視しなければなりません。
更には既に施行済の農業競争力強化支援法第8条第4項では、種苗の民間事業者への譲渡促進を提唱しています。
ではどうすればよいのか?
公的種苗事業は都道府県単位で実施しています。
千葉県で開発された種苗においては、他社へ譲渡されないよう安定供給に努めるよう求めていくこと。
千葉県においては今年10月20日に「千葉県主要農産物種子条例」が施行されました。
この種子条例は、稲・麦・大豆の種子に加え、千葉県の特産品「落花生」も対象となっており、対象品目について千葉県が責任をもって種子の安定供給を図るという条例です。
この条例を「活かす」こと。
映画でも登場しました、広島県の「ジーンバンク」。遺伝子レベルでのデータ管理までなされているようなタネが管理される施設を設けることや、
地産地消をより密着型にするために、南房総市やいすみ市、木更津市のように給食へ地場農水産物を多く取り入れ、農業従事者支援、食育、郷土学を進めていくこと、
行政へおんぶにだっこ状態にはせず、生産・販売・消費者がつながりをつくり、行政とともに地域の地場農産物の種苗を守る動き、
農業経営を大規模集約化せずともできる生産・販売の体制と資金的なものも含めたフォロー、
等等、やれることがあると思います。
この映画の主題の通り、「タネは誰のもの」ですか??
【参考】
以下、印鑰智哉氏より拝借
そもそも種苗法とは?
種苗法とは、野菜やくだもの、穀物、きのこや花などのすべての農作物の種や苗に関する法律で、新たに開発された品種を農水省に出願して、それが認められて「登録品種」となると、その独占的販売権が25年(樹木の場合は30年)認められます。つまり、開発した人の知的財産権を守り、その種苗がその権利を守って市場で流通できるようにするための法律と言えます。
この法律の規制の対象は、競合する種苗会社、種苗の流通会社や市場向けに生産する農家の人々となります。家庭菜園や学校での栽培など、市場流通を目的とせず、自家消費を目的とした栽培や、新品種開発のため、あるいは研究のためは対象外となります。
今回の法改定の目的を農林水産省は日本の農産物の海外流出を防ぐためだとしています。
2018年には、これとは別の「種子法(主要農作物種子法)」という法律が廃止されたことを覚えている方もいるかもしれません。
種子法は、日本の食を支える主要農作物であるお米、麦類、大豆の種子の安定生産・供給を目的とし、優良な品種の種子の生産責任を公的機関に義務付ける法律です。この法制度のおかげで戦後は地域に合った多様な品種の開発や安定供給がなされ、農家は種子が足りなくなる心配はなかったのですが、同法律は維持を求める多くの声にもかかわらず2018年に廃止されてしまいました。民間企業が種子事業に投資しやすくするため、とされています。
そもそも種苗法とは?
種苗法とは、野菜やくだもの、穀物、きのこや花などのすべての農作物の種や苗に関する法律で、新たに開発された品種を農水省に出願して、それが認められて「登録品種」となると、その独占的販売権が25年(樹木の場合は30年)認められます。つまり、開発した人の知的財産権を守り、その種苗がその権利を守って市場で流通できるようにするための法律と言えます。
この法律の規制の対象は、競合する種苗会社、種苗の流通会社や市場向けに生産する農家の人々となります。家庭菜園や学校での栽培など、市場流通を目的とせず、自家消費を目的とした栽培や、新品種開発のため、あるいは研究のためは対象外となります。
今回の法改定の目的を農林水産省は日本の農産物の海外流出を防ぐためだとしています。
2018年には、これとは別の「種子法(主要農作物種子法)」という法律が廃止されたことを覚えている方もいるかもしれません。
種子法は、日本の食を支える主要農作物であるお米、麦類、大豆の種子の安定生産・供給を目的とし、優良な品種の種子の生産責任を公的機関に義務付ける法律です。この法制度のおかげで戦後は地域に合った多様な品種の開発や安定供給がなされ、農家は種子が足りなくなる心配はなかったのですが、同法律は維持を求める多くの声にもかかわらず2018年に廃止されてしまいました。民間企業が種子事業に投資しやすくするため、とされています。